ギルトーニはフィアから逃げるように去り、一人部屋に閉じこもって思い更けていた。

もう、何年前になるだろうか……。
4月なのに雪が降って寒い日だった。
魔王・ジルフィード様のために忠誠を誓い、働いていた時だ。
陛下は新たな力を得るためにベルザス地区にあるパワーストーンを探していらっしゃった。
だが、その地区にすむシム共がそれを横取りしよう目論んでいた。
私はそれを阻止するためにシム共の家に侵入した。

魔王陛下の邪魔をするものは誰一人として許さん!!!
私の中の血流の速度が一気に増していくのを感じた。

私はまず家にはいると、この家の主を殺した。
主を殺せば済む話だったのだが……。
この頃の私は血の気が多く、とても彼を殺しただけでは済まなかった。

その主の妻はキッチンで夕食の支度をしていた。
私は容赦なく後ろから切り殺した。
悲鳴も上げずに死んでいった。

そして、部屋にいた子供たちも……。
彼らは、私に気づき必死に
「殺さないで!!」
そう叫んでいた。
しかし、無慈悲な私にそれが聞き入れられることはなかった。
あの大きな瞳の淵に悲しみを浮かべ、私を見つめていた。
その時は何とも思わなかったが、あの瞳を見るたびに私はおかしくなる。
その後、陛下にそのことをご報告した。
陛下のためとはいえ、命令もされずシムたちを殺したことは罪になる。
陛下は今後、一切尽くす必要はないとおっしゃった。
そして、静かにどこかで暮せと言われた。
私は何らかの罰を受ける覚悟でいたが、そう言われただけで、何も罰は与えられなかった。
陛下は後で、「お前のしたことは許し難いことだが、お前を罰したところで一体何が変わる。
お前は、決して無慈悲な男ではないはず……。だから私はお前を罰することはしない。」と仰られた。
そう言っていただけて少し心が楽になった……。
だが、私はそれ以来子供の姿を見ると、あの時殺した子供たちの顔が思い出されるのだ。
あの無垢な存在に自分はまた傷つけてしまうのではないかと恐れているのだ。
だが、それがゆえにまた子供を傷つけてしまうこともあった。
私はそれをフィアという子供にまた同じことをしてしまうのだろうか……。